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2020年4月30日

少数株主として非上場株式を保有するリスクとは

1 非上場株式と譲渡制限について

1-1 非上場株式とは何か

非上場株式とは、株式公開によって市場で取引価格が形成されていない株のことを言います。現在の日本においては、株式会社の99%以上が非上場であり、非 上場企業における株主の多くは、会社の経営に支配力を持つ支配株主と、それ以外の少数株主によって構成されています。今回は、少数株主が非上場企業の株式 を保有し続けるリスクについて解説します。

1-2 非上場企業が株式の譲渡制限をかける理由

非上場企業のほとんどが、株式の譲渡に関して会社の承認を要する旨を定款に記載しています。つまり、保有する株式を第三者に自由に譲渡することに対して制限を掛けているわけです。その大きな目的は、会社にとって好ましくない人が経営に関与することや、株式の保有関係が複雑化することを防ぐことにあります。

そのため、株主が第三者に株式を譲渡しようとする場合は、定款で別段の定めがある場合を除き、取締役会設置会社では取締役会、それ以外の会社では株主総会において、当該譲渡を承認するか否かが決定されることになります。

2 非上場企業の株式を保有する具体的なリスク

2-1 リスクその①―流動性が低く売りたいときに売れない

このような譲渡制限株式を保有することに関してはリスクがあります。

経営権を持つ大株主以外の人が贈与や相続、または出資によって会社の株式を保有する目的の一つは、資産を増やすことです。つまり最終的には換金して利益を得られるかどうかが大きな問題となります。

しかし、前述のように非上場企業の場合は、取引市場がないため、非上場会社の株式を保有して利益を得るためには、会社から剰余金の配当を受け取るか、株式の全部かまたは一部を第三者に売却する必要があります。

ただ、剰余金の配当については、株主総会における議決権の過半数の賛成が必要となります。したがって支配株主が賛成しない限り、配当がされることはありません。

一方、株式の売却についても、少数株主の場合、具体的な買い手を見つけるのは非常に困難です。買い手にとっては会社の経営に影響を与えられるほどの株数ではなく、将来的に株式を売却する(イグジットする)手段も制限されることから、保有メリットよりリスクのほうが大きいと判断されるケースが多いためです。

このように非上場株式は、取引市場が存在する上場株式と違い、自分が売却したいタイミングで売ることが極めて難しいと言えます。

では、発行会社に買い取ってもらう事についてはどうでしょうか。
残念ながら、現行法では株主からの株式の買い取り要求の申し入れに、会社側が従う義務はありません。

売却するためには、株主はまず具体的な買い手を見つけた上で、会社に対して、株式譲渡承認請求を行う必要があります。
株式譲渡承認請求の手続きの概略を下図に示します。詳細に関しては、また別途記事で解説します。

2-2 リスクその②―少数株主のための経営が行われない

コーポレートガバナンスの観点から、上場企業においては少数株主の利益保護に関する指針が打ち出されるケースが増えてきましたが、残念ながら、非上場企業では経営支配株主が少数株主を意識しないまま経営を行っているケースも存在します。
たとえば、会社の利益が主に役員報酬や退職慰労金に分配され、少数株主への利益還元が行われないケースもあります。

2-3 リスクその③―高額な相続税が課される可能性

個人の場合は、株式の所有者が死亡し相続が発生した際に、注意が必要です。この場合、株は親族などに相続されることになりますが、仮に対象企業の内部留保が積み上げられ、株式評価額が高額となっている場合、その相続税が想定外に高額になってしまうケースもあります。経済的な余裕がないのに相続人となってしまい、相続税の納税に苦労したというケースも実際に起きています。

3 まとめ

このように、少数株主の立場で非上場企業の株式を保有し続けることにも一定のリスクが伴います。とはいえ、自ら買い手を見つけられない、発行会社とどう交渉を行えばいいのか分からないという方も多いのではないでしょうか。
法人、個人を問わず、非上場株式の売却に関しては、経験豊富な専門家のサポート、アドバイスの下で進めることをお勧めします。

記事協力

幸田博人

1982年一橋大学経済学部卒。日本興業銀行(現みずほ銀行)入行、みずほ証券総合企画部長等を経て、2009年より執行役員、常務執行役員企画グループ長、国内営業部門長を経て、2016年より代表取締役副社長、2018年6月みずほ証券退任。現在は、株式会社イノベーション・インテリジェンス研究所代表取締役社長、リーディング・スキル・テスト株式会社代表取締役社長、一橋大学大学院経営管理研究科客員教授、京都大学経営管理大学院特別教授、SBI大学院大学経営管理研究科教授、株式会社産業革新投資機構社外取締役等を務めている。

主な著書

『プライベート・エクイティ投資の実践』中央経済社(幸田博人 編著)
『日本企業変革のためのコーポレートファイナンス講義』金融財政事情研究会(幸田博人 編著)
『オーナー経営はなぜ強いのか?』中央経済社(藤田勉/幸田博人 著)
『日本経済再生 25年の計』日本経済新聞出版社(池尾和人/幸田博人 編著)

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