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2020年9月10日

非上場企業の資金調達やM&Aに活用される第三者割当増資とは?

非上場企業の資金調達や事業承継、M&Aなどの際に活用される手段として第三者割当増資があります。今回はその概要と、メリット・デメリット、注意しておくべきポイントなどを解説します。

1 第三者割当増資とは

第三者割当増資とは、企業が資金調達する手段の1つです。

新株発行によって資本金を増資するときは、既存の株主に対して持ち株数に応じて株式を割り当てる株主割当があります。一方、第三者割当増資の場合は、既存の株主であるかどうかは関係なく、特定の第三者に対して新株を発行することになります。

上場企業であれば、不特定多数の投資家に対して新株を発行する公募増資を行うことができますが、非上場企業の場合、株式は未公開であるため、第三者割当増資による増資がよく活用されます。

増資の目的は、事業のための資金調達のときもあれば、M&Aをスムーズに成立させるためなど様々ですが、第三者割当増資の場合は特に、新株を引き受けた側との関係を強化することによって経営的なメリットを見込んだり、事業承継の際に後継者に経営権をスムーズに移行するために用いられることも多くなっています。

2 非上場企業における第三者割当増資の例

2-1 資金調達目的の場合

たとえば、資金調達を目的とした第三者割当増資の場合、資本金3千万円の会社が株価10万円で300株発行していたとします。

この会社が株価10万円で100株を新規発行し、1千万円の増資を第三者割当増資で行うと、資本金は4千万円、発行株式総数は400株となり、株主構成は既存株主が75%、新規株主が25%に変わります。

この場合、既存株主は1千万円の資金調達をしつつ、引き続き経営権を有することになります。

2-2 M&A目的の場合

一方、新規株主への割り当てを増やすことによって、第三者割当増資をM&Aの手段として利用することも可能です。

前述の会社の場合、例えば株価10万円で600株を発行し6千万円増資すると、資本金は9千万円、発行株式総数は900株となり、株主構成は既存株主が33.3%、新規株主が66.7%に変わります。結果的に、新規株主が2/3超を保有することになるため、経営権が移行します。

このほか、事業承継の際に第三者割当増資を行うことで現経営者の保有する株式の比率を下げ、自社株の評価を下げることで相続税や贈与税の引き下げを狙うケースもあります。

3 第三者割当増資のメリット

3-1 非上場企業でも資金調達が可能

既に解説した通り、市場に株式を公開していない非上場企業でも、第三者割当増資を行うことで比較的容易な資金調達が可能になります。事業拡張や多角化などを考えている経営者にとっては検討の価値があると言えるでしょう。金融機関からの融資などと違い、第三者割当増資による調達資金は返済義務がないことも見落とせないメリットです。

3-2 株主となる相手を選定できる

不特定多数から出資を募る公募増資などと違って、自社にとって好ましい相手を株主として迎えられるのも第三者割当増資のメリットです。引き受け側となる取引先や金融機関などと、関係を強化したいときに用いられるケースも多くなっています。

3-3 手続きが少なく容易

第三者割当増資に必要な手続きはそれほど多くなく、短期間で資金調達できることも特徴です。たとえば新規事業を早期に立ち上げたい場合や、事業承継を早く行いたい場合など、資金調達のスピード感が必要な時には有効な手段となります。

4 第三者割当増資のデメリット

4-1 既存株主が損をする可能性

増資により発行株式数が増加すると、株価を発行株式数で割った一株当たりの価値が相対的に減少する、いわゆる株式希薄化が起こります。

既存株主の持ち株比率も低下するため、当然ながら経営に対する影響力は弱まります。これにより既存株主から不満が上がったり、経営陣の意思決定がスムーズにいかなかったりする可能性もあるでしょう。

4-2 税金が上がる可能性

第三者割当増資によって資本金が増加すると、納税額が上がる可能性があります。資本金が1千万円を超えると消費税、1億円を超えると法人税の軽減税率が適用されなくなるため、こうした点にも注意が必要となります。

5 第三者割当増資の注意点―有利発行とは何か

第三者割当増資を行う際、その払込金額が妥当と考えられる価格より安く、引き受け手側にとって有利な価格である場合は、その理由を株主総会で説明しなければなりません。

過去の判例によれば、上場企業の場合は株式の時価を基準とした公正な振込金額から、1割程度低い金額までは、特別に有利な発行とはみなされません。

一方、市場で価格が決定されない非上場企業の場合は、株価の算定方法についてはいくつか方法があるので、公認会計士など専門家による評価が必要となってくるケースが多くなります。

まとめ

株式市場から資金調達ができない非上場企業にとって、活用の仕方によっては第三者割当増資は非常に有効な手段となり得ます。事業承継による株式分散を防ぎたい場合なども、信頼できる第三者に株主になってもらうメリットは大きいでしょう。

ただ、一方で既存株主から不満が上がったり、適切な払込金額が算定できないといったケースも考えられます。第三者割当増資を検討する場合は、ここで解説したさまざまな要因を考慮し、専門家のサポートの下で実行することが必要です。

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記事協力

幸田博人

1982年一橋大学経済学部卒。日本興業銀行(現みずほ銀行)入行、みずほ証券総合企画部長等を経て、2009年より執行役員、常務執行役員企画グループ長、国内営業部門長を経て、2016年より代表取締役副社長、2018年6月みずほ証券退任。現在は、株式会社イノベーション・インテリジェンス研究所代表取締役社長、リーディング・スキル・テスト株式会社代表取締役社長、一橋大学大学院経営管理研究科客員教授、京都大学経営管理大学院特別教授、SBI大学院大学経営管理研究科教授、株式会社産業革新投資機構社外取締役等を務めている。

主な著書

『プライベート・エクイティ投資の実践』中央経済社(幸田博人 編著)
『日本企業変革のためのコーポレートファイナンス講義』金融財政事情研究会(幸田博人 編著)
『オーナー経営はなぜ強いのか?』中央経済社(藤田勉/幸田博人 著)
『日本経済再生 25年の計』日本経済新聞出版社(池尾和人/幸田博人 編著)

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