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2020年11月5日

非上場企業の相続時のトラブルの原因!名義株の問題点とは

非上場企業の相続や事業承継の際に、本当の株主が誰なのか分からない名義株が問題になるケースがあります。認識の違いにより、名義株が相続税の対象になってしまい、多額の追徴課税を要求される事例もあります。今回は、名義株の問題点、確認・解消方法などについて解説します。

1 名義株とは

名義株とは、株主名簿上の株主(名義人)と実質的な所有者が異なる株式を指します。

明治32年商法119条(昭和13年改正商法165条)に「株式会社ノ設立ニハ、7人以上ノ発起人アルコトヲ要ス」とされていたため、平成2年(1990年)に商法が改正される前は、創業者が100%お金を出しているものの、友人・知人・親族に名前を借りて会社を設立することが行われていました。

2 名義株の問題点

名義株の株主が誰なのか、相続や事業承継の際に問題になるケースがあります。「実際に株式の払い込みを行ったが株主名簿に記載されていない名義借人」と「株式の払い込みは行っていないが株主名簿に記載されている名義人」で、一般的には、実質的な所有者が株主と解されます。つまり、「実際に株式の払い込みを行ったが株主名簿に記載されていない名義借人」が真実の株主です。ただ、認識の違いにより、名義株が相続税の対象になってしまい、多額の追徴課税を要求されるケースもあります。例えば、下記は、相続税の税務調査で名義株の存在が指摘され、多額の相続税を支払った事例です。

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(出典:日本経済新聞)  

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また、仮に相続税の課税を免れた場合も、将来名義人から株主としての権利を主張されたり、配当や株の買い取り請求を起こされたりする可能性があります。株価評価が高くなっている場合は、買い取り資金が膨大になることも考えられます。名義株は、放置して一度でも配当すると、実質的な株主として権利が確定してしまうこともあるので、注意が必要です。

3 名義株の確認・解消方法

まずは、名義株の確認をする必要があります。会社の株主名簿、もしくは法人税申告書の別表2「同族会社の判定に関する明細書」にて、そこに記載されている名義人が真実の株主かどうか確認することができます。もしくは、創業者が存命であれば、創業者に名義株の確認をすることも可能です。

仮に名義株が存在した場合は、【資金を伴わない処理方法】と【資金を伴う処理方法】の2通りが考えられます。

【資金を伴わない処理方法】

「名義株承諾書」または「念書」を作成し、株主名簿を本来の所有者名義に変更する。

名義株承諾書(サンプル)

株式会社□□□□□ 御中

株主名簿記載の〇〇〇〇(以下「甲」という)名義の貴社株式、合計〇〇株に関しては、甲が払い込みをしたものではなく、創業者△△△△(以下「乙」という)が貴社設立にあたり名義を貸したにものであり、甲自身は何ら権利を有するものではありません。

当該株式の全株式〇〇株については、本来の権利者である乙へ直ちに名義書換することに合意いたします。

20XX年X月X日

甲:東京都※※※※※※※※※※

氏名※※※※  自署  ㊞

乙:東京都※※※※※※※※※※

氏名※※※※  自署  ㊞

【資金を伴う処理方法】

名義人を本来の所有者として、「株式譲渡契約書」を締結の上、譲渡代金を支払って株式を譲受し、株主名簿を書き換える。

4 まとめ

平成2年(1990年)の商法改正以降、名義を借りる必要性が低くなりましたが、従来の名義株を整理しないまま放置すると、相続や事業承継の際に思わぬ問題に発展する場合があります。名義株の問題が顕在化する前に早急に解決しておく必要があります。

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記事協力

幸田博人

1982年一橋大学経済学部卒。日本興業銀行(現みずほ銀行)入行、みずほ証券総合企画部長等を経て、2009年より執行役員、常務執行役員企画グループ長、国内営業部門長を経て、2016年より代表取締役副社長、2018年6月みずほ証券退任。現在は、株式会社イノベーション・インテリジェンス研究所代表取締役社長、リーディング・スキル・テスト株式会社代表取締役社長、一橋大学大学院経営管理研究科客員教授、京都大学経営管理大学院特別教授、SBI大学院大学経営管理研究科教授、株式会社産業革新投資機構社外取締役等を務めている。

主な著書

『プライベート・エクイティ投資の実践』中央経済社(幸田博人 編著)
『日本企業変革のためのコーポレートファイナンス講義』金融財政事情研究会(幸田博人 編著)
『オーナー経営はなぜ強いのか?』中央経済社(藤田勉/幸田博人 著)
『日本経済再生 25年の計』日本経済新聞出版社(池尾和人/幸田博人 編著)

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