非上場企業の少数株式の流動化支援、株主構成・資本政策の課題解決

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非上場企業の少数株式の流動化支援、株主構成・資本政策の課題解決

2026年9月7日

非上場企業の少数株式保有経験者の62.6%が「誰にも相談していない」のはなぜか?

はじめに

日本成長支援パートナーズが、非上場企業の少数株式の保有経験者326名を対象に実施したアンケート調査では、非上場株式の売却を検討した際に、62.6%が「誰にも相談していない」と回答しました。

非上場企業の少数株式は、上場株式のように市場で自由に売買できるものではありません。

「いくらで売れるのか」「誰に売ればよいのか」「発行会社にはどのように話をすればよいのか」など、売却にあたって検討すべきことは少なくありません。

それにもかかわらず、なぜ多くの株主が誰にも相談していないのでしょうか。

今回の調査では「相談しなかった理由」を直接尋ねているわけではありません。

そこで本コラムでは、アンケートの他の回答結果や、当社がこれまで非上場企業の少数株式の売却支援を行ってきた経験を踏まえ、その背景について考えてみたいと思います。

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1. そもそも「誰に相談すればよいのか」が分かりにくい

一つ目に考えられるのが、非上場企業の少数株式の売却について、誰に相談すればよいのかが分かりにくいことです。

例えば、上場株式であれば証券会社、不動産であれば不動産会社など、売却を考えた際の相談先は比較的明確です。

一方、非上場株式の場合、売却を考えても、その相談先は必ずしも明確ではありません。

さらに、今回の調査対象である「少数株式」という点も、相談先を分かりにくくしている要因の一つと考えられます。

一般的なM&Aでは、会社の経営権を取得することを前提とした株式の売買が中心です。

一方、経営権を伴わない少数株式は、買い手となる相手が限られることなどから、専門的に取り扱う事業者も決して多くありません。

弁護士、会計士、税理士、銀行、M&A仲介会社など、相談先はいくつか考えられますが、少数株式の売却について、必ずしも専門的な支援を受けられるとは限りません。

実際、今回のアンケートでも、売却しなかった人のうち11.4%が「相談・依頼できる専門家が見つからなかった」と回答しています。

こうした相談先の分かりにくさが、売却について悩みを抱えていても、誰にも相談しないままになっている背景の一つではないかと考えられます。

2. 「何から始めればよいか分からない」

相談先の分かりにくさと関連して、そもそも売却に向けて何から始めればよいのか分からないという問題もあります。

今回のアンケートでは、最終的に売却しなかった人の20.7%が、その理由として「何から始めればよいか分からなかった」と回答しています。

非上場企業の少数株式を売却しようと思っても、売却先や売却価格があらかじめ決まっているわけではありません。

まず株式価値を確認するのか、発行会社に相談するのか、それとも買い手を探すのか。

こうした最初の一歩が分からないことも、誰にも相談しないままになっている背景の一つと考えられます。

3. 発行会社との関係を気にして相談をためらう

非上場企業の少数株主は、相続や贈与、過去の出資など、さまざまな経緯で株式を保有しています。

特に、創業家や経営者との親族関係がある場合や、発行会社と長年の関係がある場合には、株式の売却を考えていることが知られることで、発行会社や経営者との関係が悪化するのではないかと懸念することも考えられます。

非上場企業の少数株式では、株主と発行会社との距離が近いケースも少なくありません。

そのため、株式の売却を単なる資産の売却として割り切ることが難しい場合もあります。

発行会社や経営者との関係を気にするあまり、売却について誰かに相談すること自体をためらってしまうケースもあるのではないでしょうか。

4. そもそも「売却できる」と思っていない

非上場企業の少数株主の中には、

  • 「発行会社が買い取ってくれなければ売却できない」
  • 「親族や既存株主以外に売却することは難しい」
  • 「経営権のない少数株式を買う第三者はいない」

と考えている人もいるのではないでしょうか。

特に、発行会社に買取りを相談して断られた場合には、「この株式は売却できない」と考え、そのまま保有を続けているケースも考えられます。

また、外部の第三者への売却という選択肢を知らなければ、発行会社や既存株主への売却が難しい時点で、売却を諦めてしまうことも考えられます。

そのため、売却したいという意向があったとしても、「そもそも売却できない」と考えていれば、売却について誰かに相談するという発想にもつながりにくいのではないでしょうか。

5. 売却ニーズがあっても、相談にはつながっていない

今回のアンケートで注目したいのは、現在も非上場企業の少数株式を保有している154名全員に、程度の差はあるものの一定の売却ニーズが確認されたことです。

売却についての意向を尋ねたところ、「できるだけ早く売却したい」が10.4%、「いずれ売却したい」が36.4%、「良い条件であれば売却を検討したい」が53.2%となり、「売却する意思はない」という回答はありませんでした。

また、保有経験者全体では、売却を検討した際に62.6%が「誰にも相談していない」と回答しています。

対象となる回答者は異なりますが、これらの結果からは、売却に対する一定のニーズが存在する一方で、それが必ずしも相談という行動にはつながっていない状況がうかがえます。

「今すぐ売却したいわけではない」「良い条件であれば考えたい」という段階では、まだ具体的に行動する必要はない、あるいは専門家に相談するほどではないと考えている人もいるのかもしれません。

6. まずは、自分の株式にどのような選択肢があるのかを知る

ここまで、非上場企業の少数株式の保有経験者の62.6%が「誰にも相談していない」背景について考えてきました。

今回の調査では「相談しなかった理由」を直接尋ねていないため、その理由を断定することはできません。

一方で、非上場企業の少数株式は、会社の業績や財務内容、保有割合、株主構成、発行会社との関係などによって、考えられる売却先や売却条件が異なります。

発行会社が買い取ってくれない場合でも、外部の第三者への売却が可能なケースもあります。また、専門家に相談することと、発行会社に対して直ちに売却を申し出ることは同じではありません。

まずは、保有する株式の価値や考えられる売却先、必要となる手続きなどを確認し、自分が保有する株式にどのような選択肢があるのかを知ることが重要です。

売却を決めてから相談するのではなく、売却するかどうかを判断するために相談することも、一つの選択肢です。

実際に専門家に相談することで、自分では想定していなかった売却方法が見つかることもあります。一方で、現時点では売却せず、保有を続けるという判断になることもあるでしょう。

自分が保有する株式を今後どうするか考えるうえでは、売却することを最初から決める必要はありません。どのような選択肢があるのかを把握したうえで、自分にとって適切な方向性を考えることが大切ではないでしょうか。

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記事協力

幸田博人

1982年一橋大学経済学部卒。日本興業銀行(現みずほ銀行)入行、みずほ証券総合企画部長等を経て、2009年より執行役員、常務執行役員企画グループ長、国内営業部門長を経て、2016年より代表取締役副社長、2018年6月みずほ証券退任。現在は、株式会社イノベーション・インテリジェンス研究所代表取締役社長、リーディング・スキル・テスト株式会社代表取締役社長、一橋大学大学院経営管理研究科客員教授、京都大学経営管理大学院特別教授、SBI大学院大学経営管理研究科教授、株式会社産業革新投資機構社外取締役等を務めている。

主な著書

『プライベート・エクイティ投資の実践』中央経済社(幸田博人 編著)
『日本企業変革のためのコーポレートファイナンス講義』金融財政事情研究会(幸田博人 編著)
『オーナー経営はなぜ強いのか?』中央経済社(藤田勉/幸田博人 著)
『日本経済再生 25年の計』日本経済新聞出版社(池尾和人/幸田博人 編著)

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